【テロ等準備罪】今話題の共謀罪とは?賛成派、反対派の意見から探す着地点

 

最近話題に、というか日本国民として議論すべき話題である共謀罪について今回は詳しく見ていこうと思う。

今年の動向

2017年3月21日  第193回国会に安倍内閣より
「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」
が提出される。
2017年5月19日   共謀罪の構成要件を改め「テロ等準備罪」を創設することを柱とする組織犯罪処罰法改正案が衆議院法務委員会で自民、公明の与党と日本維新の会の賛成多数で可決された。
2017年5月23日   テロ等準備罪を創設する組織的犯罪処罰法改正案が衆院本会議で採決され、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。

 

まず共謀罪とは何か。

 

共謀罪とはわかりやすく言うと

組織的にまた秘密裏に犯罪を企んでいる人たちを罪としよう

ということである。

日本では2017年に入ってから共謀罪のことをテロ等準備罪とし法案提出したが、こちらの方がイメージしやすいと思う。

つまり実際にテロを行っていなくとも、テロを企てた時点で罪となるということだ。

 

共謀罪(テロ等準備罪)法案 が適応される場合の特徴は大きく分けて3つ

 

 この法律においての「組織的」というのは共通の目的を持った三人以上からなる集団で、かつ長い間継続してその目的(重大な犯罪)のために行動している集団のことを言うということ。

 重大な犯罪とは懲役四年以上服役する必要が出る重い犯罪のことを言う。

ちなみに懲役四年以上の犯罪というと、かなり広い範囲になるのだが一応例を挙げておくと

恐喝罪 強制わいせつ罪 強姦罪 強盗罪 強盗致死傷罪 傷害罪 殺人罪 覚せい剤取締法違反罪

などが含まれる。

  国際的に、つまり二国間にまたがりその犯罪が行われたり、その準備や計画が他国で行われ、他の国に実質的な影響を及ぼす場合はその時点で共謀罪が適用される。
また、組織的な犯罪集団(テロリストなど)へ参加する場合もその時点で犯罪とみなされる。

 

今までの法案の流れ

 

【2004年2月20日提出の政府案】

 

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案における組織的犯罪処罰法改正案

犯罪組織の中にいたものの、実行する前に自首した人はその犯罪に応じて減刑したり免除することにする。

 

【2005年10月4日提出の政府案】

 

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案における組織的犯罪処罰法改正案

前回とほぼ変わらない内容。多少詳しく減刑に関して規定した。

 

【与党案・2006年4月21日国会提出】

 

上記の政府案の修正案

 

これまでに加え、共謀罪をあてはめる場合
思想及び良心の自由を侵すようなことがあってはならず、かつ、団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならないとした。

 

【与党再修正案・2006年5月19日国会提出)】

 

修正案

前回までの内容に加え、組織的な犯罪集団の活動はその個人の意思決定に基づく行為である場合に限るとした。

 

共謀罪の適用に関しては思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず、かつ、労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならないとした。

 

【民主党案・2006年4月27日国会提出】

 

修正案

これまでの内容を方針を同じくするままさらに詳しく規定した。

 

【2017年3月21日提出の政府案】

 

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

これまでの修正案をまとめ、若干の修正を加えた。

 

賛成派と反対派の論点とは!?

 

論点1

ここで、共謀罪を作ることに関しての論点は簡単に言うと、犯罪の未然防止を突き詰めるがあまり、市民の権利・自由の範囲があいまいになることが予想されるということ。

反対派の意見

共謀罪を作ることによって主要な犯罪類型のほとんど(2006年1月の時点で619個の犯罪が共謀罪の対象となるとされる)が、実行行為が存在しなくても処罰可能となるため、
「正犯にせよ共同正犯にせよ狭義の共犯にせよ、実行行為に直接つながる行為をすることによって、法律が保護する社会生活の利益を侵害する危険性があるというだけで処罰される」
ということになり、従来の刑法学の基本的発想が崩れてしまう可能性がある。

賛成派の意見

まず、反対派の意見は現在の厳密化した共謀罪の判定精度を無視した議論である。

テロ等を含む組織的な犯罪は、綿密な計画の下に役割分担をして実行されるという特質を持っていて、ひとたび発生すると甚大な被害となることから、未然防止が必要不可欠となる。
実行に至る前に情報収集する必要性が高く、外国のように幅広い通信傍受や身柄の一時拘束などの特別権限、犯罪の実行に着手する前の段階の一定の行為を処罰の対象にする共謀罪が必要である。
このような犯罪の共謀に限って捜査の対象にすることは、日本の刑事法の在り方とも整合的する。
日本の現在の刑事法においても、一定の罪の予備・陰謀、あおり等を処罰の対象にしているが、反対派の危惧するような事態は起きていない。

 

論点2

 

これまでの組織犯罪処罰法においては、ごく限定された少数の犯罪について、加えて罪を与える形をとっていたが、
共謀罪政府案では広範な犯罪についての共謀段階についてもすべて同じ定義を用いたため、適用される団体や組織の範囲が論点となった。

 

反対派

 

集会・結社・表現の自由を制約してしまう。
あるいは居酒屋でそりの合わない上司を叩きのめしてやりたいなどと冗談を言って憂さ晴らせしをしていたら組織的な傷害の共謀とされるなどして私生活上の自由を制約してしまう。
また、著作権法により著作権や著作隣接権、著作者人格権の侵害が対象となることから、ネット上でのファンクラブ活動やゲームのユーザグループの活動において私的使用目的の改変のための情報交換(同人活動)が、権利侵害の証拠なしに共謀罪とみなされるといった萎縮効果がおこりうる。

本来正当な目的の活動の団体や企業が犯罪目的の団体と化する場合と、正当な目的の活動の団体がたまたま対象犯罪にあたる内容を共謀したが違法性に気がついて着手せず取り止めた場合の区別ができない危険性がある。

テロ犯罪は通常、政治的・宗教的・信条的などの理由に基づいて行われるものであって、利得を主たる目的とするものでなく、しかも単独で行われることがあることから、テロ対策立法は、テロ対策を目的としていないため組織犯罪対策立法とは別個のものとして考えるべきである。
テロ対策立法については、フランス刑法の「テロ行為罪」のように、厳格な構成要件によって規定されるべきである。

 

賛成派

 

そもそも、正当な争議行為・合法な市民運動は刑法35条によって違法性が認められないため処罰されない。
民主党修正案では、共謀罪の適用団体を極めて限定的に規定しており、通常の労働組合や市民団体が犯罪実行を「主たる目的」としていないのは明白であるのに、反対派は法案の文言を無視して、市民団体への適用可能性に拘っている。

 

居酒屋の「冗談」は共謀罪に言う「共謀」にあたらないのは明白である。
そもそも「捜査」の対象になるであろうという推測自体が疑わしい。
捜索、差押えには裁判所が発行する「令状」が必要だが、そもそも明白に適用除外される「居酒屋での冗談」に犯罪の嫌疑があると認定されるわけもなく、令状が発行される可能性は極めて低い。
反対派は全体的に議論が古い。

 

日本国内での賛成反対両勢力

 

日本の国政政党及び会派の見解

賛成

自由民主党、公明党、日本維新の会

反対

民進党、日本共産党、社会民主党、自由党

全国紙の見解

賛成

読売新聞

反対

朝日新聞、毎日新聞

さすがに賛成、反対が真っ二つに割れていることもあり、議論はこれからも激化していくだろうことが予想される。

 

海外での共謀罪が成立している地域

 

マルタ共和国

 

マルタ共和国刑法においては、次のような規定がある。

(1)マルタ共和国で報道法に定める罪でない、マルタ共和国において懲役刑に処せられる何らかの罪を犯すことを目的として、マルタ共和国内又は国外にいる1名以上の者と共謀するマルタ共和国にいる者は、当該の罪を犯すことの共謀の罪で有罪となる。
(2)第(1)項に言及されている共謀は、そのような者の間で何らかの形態の行為が少しでも計画され、又は合意された時点から存続しているものとする。
(3)本条に基づく共謀の罪が発覚した者は、共謀既遂の罪として、2~3等級減軽された刑罰を受けるものとする。
(4)第(3)項の目的のために、共謀既遂の罪に対する刑罰の決定に際して、その罪を加重する何らかの状況があれば考慮するものとする。

 

アメリカ

 

二人以上の者が、何らかの犯罪を犯すこと等を共謀し、そのうちの一人以上の者が、共謀の目的を果たすために何らかの行為を行ったとき

 

イギリス

 

ある者が、他の者と犯罪行為を遂行することにつき合意したとき

 

ドイツ

 

犯罪行為の遂行を目的・活動とする団体を設立した者、このような団体に構成員として関与した者、その構成員・支援者を募り又はこれを支援した者

 

フランス

 

重罪等の準備のために結成された集団又はなされた謀議に参加したとき

これらの国でいわゆる共謀罪が適応されているが、日本の反対派が危惧するような事態が起きていないところを見ると個人的には賛成派の方に説得力があるように思える。

 

まとめ

 

賛成派と反対派の意見を見ていると、反対派は確かに共謀罪を規定することによるリスクは述べているのだが、賛成派によるその可能性は低いという反論に対しては意見を出さず、正直素人目に考えてもあり得ないことを述べている場面が目についた。

近年テロが増えている中で、このような法案は必ず必要になるとは言ってもなんの議論もなしに共謀罪を制定するのは危険なのは間違いないので、ぜひ国民の大多数が納得できるような着地点を見つけていきたいものだ。








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